パートタイム・有期雇用労働法が施行されます

  • Point1

  • 不合理な待遇差の禁止

    同一企業において、正社員と非正規社員の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることを禁止する。
    裁判の際に判断基準となる「均衡待遇規定」「均等待遇規定」が法律に整備されます。
    • 均衡待遇規定について、個々の処遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化(法第8条)
      (基本給、賞与、役職手当、食事手当、福利厚生、教育訓練など)
    • 待遇ごとに判断することを明確化するために、ガイドライン(指針)が策定されます。(法第15条)
同一労働同一賃金ガイドラインの概要(一部抜粋)
基本給
基本給が、労働者の能力又は経験に応じて支払うもの、業績又は成果に応じて支払うもの、勤続年数に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めた上で、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。
昇給であって、労働者の勤続による能力の向上に応じて行うものについては、同一の能力の向上には同一の、違いがあれば違いに応じた昇給を行わなければならない。
賞与
ボーナス(賞与)であって、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。
各種手当
役職手当であって、役職の内容に対して支給するものについては、同一の内容の役職には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。
そのほか、業務の危険度又は作業環境に応じて支給される特殊作業手当、交替制勤務などに応じて支給される特殊勤務手当、業務の内容が同一の場合の精皆勤手当、正社員の所定労働時間を超えて同一の時間外労働を行った場合に支給される時間外労働手当の割増率、深夜・休日労働を行った場合に支給される深夜・休日労働手当の割増率通勤手当・出張旅費、労働時間の途中に食事のための休憩時間がある際の食事手当、同一の支給要件を満たす場合の単身赴任手当、特定の地域で働く労働者に対する補償として支給する地域手当等については、同一の支給を行わなければならない。
[注1]<正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間で賃金の決定基準・ルールの
   相違がある場合>

正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間で賃金に相違がある場合において、その要因として賃金の決定基準・ルールの違いがあるときは、「正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という主観的・抽象的説明ではなく、賃金の決定基準・ルールの相違は、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして、不合理なものであってはならない
[注2]<定年後に継続雇用された有期雇用労働者の取扱い>
定年後に継続雇用された有期雇用労働者についても、パートタイム・有期雇用労働法が適用される。有期雇用労働者が定年後に継続雇用された者であることは、待遇差が不合理であるか否かの判断に当たり、その他の事情として考慮されうる。様々な事情が総合的に考慮されて、待遇差が不合理であるか否かが判断される。したがって、定年後に継続雇用された者であることのみをもって直ちに待遇差が不合理ではないと認められるものではない。
福利厚生・教育訓練
食堂、休憩室、更衣室といった福利厚生施設の利用、転勤の有無等の要件が同一の場合の転勤者用社宅、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障については、同一の利用・付与を行わなければならない。
病気休職については、無期雇用の短時間労働者には正社員と同一の、有期雇用労働者にも労働契約が終了するまでの期間を踏まえて同一の付与を行わなければならない。
法定外の有給休暇その他の休暇であって、勤続期間に応じて認めているものについては、同一の勤続期間であれば同一の付与を行わなければならない。特に有期労働契約を更新している場合には、当初の契約期間から通算して勤続期間を評価することを要する。
教育訓練であって、現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施するものについては、同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施を行わなければならない。
補足
このガイドラインに記載がない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や、具体例に該当しない場合についても、不合理な待遇差の解消等が求められる。このため、各社の労使により、個別具体の事情に応じて待遇の体系について議論していくことが望まれる。
その他
【関係裁判例の紹介】
・ハマキョウレックス事件
・長澤運輸事件
・日本郵便事件
  • Point2

  • 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

    非正規社員は、正社員との待遇差の内容や理由などについて、事業主に対して説明を求めることができるようになります。
    • 有期雇用労働者に対する、雇用管理上の措置の内容及び待遇決定に際しての考慮事項に関する説明義務が創設されます。(法第14条)
    • パートタイム労働者・有期雇用労働者から求めがあった場合、正社員との間の待遇差の内容・理由等を説明する義務が創設されます。(法第14条)
    • 説明を求めた労働者に対する不利益取扱い禁止規定が創設されます。(法第14条)