よく「法定3帳簿」という言葉を耳にすることとがあるかと思います。
この法定3帳簿って何でしょうか? |
次にあげる事業所に設置が義務付けられた帳簿をこう呼んでいます。
(1) | 労働者名簿(労働基準法107条) |
使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を各労働者について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
注意点:「各事業場ごとに・・・」ということです。 それから、履歴書で代用することはできませんのでご注意ください。 労働者名簿にはつぎのことを記入しなければなりません。 ①労働者の氏名②生年月日③履歴④住所⑤従事する業務の種類 ⑦雇入れの年月日⑧退職の年月日及びその事由⑨死亡の年月日及びその原因 |
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(2) | 賃金台帳(労働基準法108条) |
使用者は各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金
の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなけれ
ばならない。
注意点:「各事業場ごとに・・・」ということです。 それから、給与明細書で代用することはできませんのでご注意ください。 賃金台帳にはつぎのことを記入しなければなりません。 ①労働者の氏名②性別③賃金計算期間④労働日数⑤労働時間数 ⑥時間外労働、休日労働及び深夜業の各労働時間数⑦基本給、手当その他賃金の 種類毎にその額⑧法24条1項の規定による賃金の控除の額 |
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(3) | 出勤簿(労働基準法108条 則54条) |
労働基準法第108条により、賃金台帳を作成することが義務付けられていて、
その記載事項として、労働日数、労働時間数、時間外労働・休日労働・深夜労働
を行った時間数が定められています。
つまり、会社は労働者の労働時間数等を把握することが義務付けられています。 そして、出勤簿は、この労働時間数等を確認するための帳簿です。 また、厚生労働省による通達「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」により、 1.「使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること」 2.「タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し記録すること」 のどちらかの方法によって労働者の始業時刻・終業時刻を確認・記録することが原則とされています。また、正しい方法で行われている限り「自己申告制」による始業時刻・終業時刻の確認・記録も認められています。 自己申告制の場合は間違った運用が多く見受けられますので、タイムカードによる記録が一番無難と思います。 |
この法定3帳簿は、3年間の保存義務があります。
また、実務においては、社会保険の手続き、雇用保険の手続きにおいては、必ず提示
を求められます。
つまり、きちんと調製されていないと、従業員の入社・退社に伴う資格取得・喪失の
手続きや給付の手続きができないことになりますのご注意ください。